【女装小説】くすんだ青い金曜日|第5話「もう一着」

女装小説

この小説について

『くすんだ青の金曜日』は、女性物の服に惹かれた32歳の会社員・中野和也が、誰にも知られない部屋で少しずつ女装を始めていく全13話の小説です。

小説を気軽な入口にしながら、作中に登場する悩みに関連したガイド記事も読める形にしています。

この物語は前の話から続いています。初めて読む方は、第1話「合格点」からお読みください。

この作品はフィクションです。

管理人マキ

はじめまして、管理人のマキです。

女装歴20年の経験も踏まえながら、身バレの不安に配慮した情報を初心者向けに分かりやすく整理しています。

本編

金曜日の夜、俺はもう一度、あのニットを着た。

前と同じようにカーテンを閉め、玄関の鍵を確認してから袖を通す。生地が肌に触れる感覚は、覚えていた通りだった。

今回は、前よりも少し長く鏡の前にいた。

ただ、上半身だけでは、思っていたような姿にはならなかった。

いつもの部屋着のスウェットパンツを穿いたままだと、上下がちぐはぐに見える。ニットの商品ページで見た組み合わせとは、まるで違っていた。

数日後、通販サイトでスカートを探し始めた。

落ち着いた色で、装飾の少ないロングスカート。

そう検索窓へ打ち込む指が、少しだけ止まった。

ニットのときとは違う抵抗があった。

ニットなら、色や手触りが好きだったから買ったと言える。けれど、スカートを選ぶという行為には、それよりもはっきりした意味があるように感じられた。

それでも検索を続けた。

何十枚もの写真を見て、くすんだ青のニットに合いそうな、落ち着いたグレーのロングスカートを見つけた。

装飾はほとんどなく、形も広がりすぎていない。これなら自分にも着られるかもしれないと思った。

サイズ表を確認する。

ウエスト、ヒップ、着丈。

数字は載っていたが、どの位置を基準に測ればよいのかまでは、深く考えなかった。普段穿いているパンツのサイズと見比べ、これなら大丈夫だろうと判断した。

購入を確定する直前、指が数秒止まった。

これでいいのか、という迷いではなかった。

自分が本当にスカートを選び、買おうとしている。

その事実を、画面を見ながら確かめているような戸惑いだった。

それでも、指は動いた。

商品が届いたのは一週間後だった。

袋から取り出し、カーテンと鍵を確認してから試着する。

スカートを腰まで引き上げたところで止まった。

脇のファスナーが、途中から上がらない。無理に引けば壊れそうだった。鏡を見る以前に、想像していた位置まで穿くことができなかった。

一度脱いで、サイズ表を見直した。

数字は確かに確認していた。

それなのに合わなかった。

仕事では、表に並んだ数字を確認することが日常だった。そんな自分が、見ていたはずの数字で間違えたことが、妙に腹立たしかった。

なぜ合わなかったのか、スマートフォンで調べた。

調べてみると、普段のパンツとスカートでは、ウエストとして測る位置が同じとは限らないらしい。

サイズ表に書かれた数字も、体の寸法を示している場合と、服を平らに置いて測った実寸を示している場合がある。

腰を通す余裕や、生地に伸縮性があるかどうかも確認する必要があった。

俺は数字を見ていた。

けれど、その数字が何を表しているのかまでは、分かっていなかった。

引き出しからメジャーを取り出した。

今度は測る位置を確認しながら、ウエストと腰回りを測る。スカートを穿きたい位置から、床までの長さも測った。

数字を書き留め、もう一度商品ページを開く。

最初に選んだものより、一つ上のサイズを選び直した。

確認画面まで進み、表示された商品名を見つめる。

失敗を修正しているだけだ。

そう考えながら、もう一度スカートを注文しようとしている自分に、少しだけ落ち着かないものを感じていた。

この話に出てきた、レディース服のサイズ表の見方や体の測り方は、こちらの記事で詳しくまとめています。

女装服のサイズ選びで失敗しないために

さいごに

数字を確認したつもりでも、測る位置や、その数字が何を示しているのかが分からなければ、服のサイズ選びで失敗することがあります。

和也は一度スカート選びに失敗したことで、自分の体を測り直し、もう一着を選び直しました。

作中に出てきたレディース服のサイズ表の見方や、体の測り方については、こちらの記事で詳しくまとめています。

女装服のサイズ選びで失敗しないために|買う前に確認する寸法と見方

この小説を続けて読む

前の話 第4話「浮いて見える服」

次の話 第6話「タグを切る日」

『くすんだ青の金曜日』の一覧を見る

コメント