【女装小説】くすんだ青い金曜日|第2話「くすんだ青」

女装小説

この小説について

『くすんだ青の金曜日』は、女性物の服に惹かれた32歳の会社員・中野和也が、誰にも知られない部屋で少しずつ女装を始めていく全13話の小説です。

小説を気軽な入口にしながら、作中に登場する悩みに関連したガイド記事も読める形にしています。

この物語は前の話から続いています。初めて読む方は、第1話「合格点」からお読みください。

この作品はフィクションです。

管理人マキ

はじめまして、管理人のマキです。

女装歴20年の経験も踏まえながら、身バレの不安に配慮した情報を初心者向けに分かりやすく整理しています。


本編

部屋着用のニットが、そろそろ限界だった。襟元が伸びて、洗濯のたびに毛玉が増えている。日曜の午後、いつも行く量販店に寄った。

メンズフロアは二階だった。エスカレーターを上がってすぐの棚に、去年も見たようなニットが並んでいる。紺、グレー、黒。俺はいつも通り紺を手に取った。Mサイズを確認し、素材表示に目を通す。特に迷うこともない。この店で服を買うときは、だいたいこうして終わる。

レジは一階だった。エスカレーターで降りる途中、視界の端に色が入った。

婦人服のコーナーだった。普段はそちらを見ることもない。ただ今日は、棚に並んだニットの中の一枚、くすんだ青のようなものが目に留まった。紺よりも少し明るく、けれど派手ではない色だった。

足が止まったのは、たぶん数秒だったと思う。

近づいて、値札を見るふりをしながら、袖のあたりに軽く触れた。柔らかい。自分が今持っている紺のニットよりも、はっきり柔らかいと分かった。

――こっちの方が好きかもしれない。

そう思った瞬間、自分でもよく分からないまま、その考えを頭の隅に押しやった。何を考えているんだ、と特に強く思ったわけではない。ただ、続ける理由がなかっただけだ。俺はレジへ向かい、紺のニットだけを会計した。

家に帰って、買ったニットを袋から出した。タグを切って、洗濯してから着るつもりで、いったんベッドの上に置く。畳まれた紺色の布地を見ていたら、さっきの青のことを思い出した。

――やっぱり、あっちの方がよかったな。

今度はその考えを、特に押しやらなかった。ただそう思っただけで、それ以上は何もしなかった。夕飯を作り、風呂に入り、いつも通りの夜を過ごした。

その考えを思い出したのは、数日後の夜だった。特に何かきっかけがあったわけではない。ソファに座ってスマートフォンを触っていて、ふと、あの店の商品が通販サイトにもあるだろうか、と思いついた。

検索すると、すぐに見つかった。同じ色のニットが、写真つきで並んでいる。実物より少し明るく写っているようにも見えたが、たぶんあれだった。

サイズ表を確認する。着丈、身幅、袖丈。数字の並びを何となく眺める。素材はコットン混のリブニットとある。洗濯表示も確認した。

それだけだった。カートには入れなかった。ページを閉じて、スマートフォンを充電器に挿し、いつも通りベッドに入った。

ただ、寝る前にもう一度だけ、あの色を思い浮かべた自分に、少しだけ気づいていた。

さいごに

和也は婦人服売り場で気になったニットに触れ、「こっちの方が好きかもしれない」と感じました。

ただ、その場では買わず、帰宅してからも色や手触りを思い出し、通販ページを見るところまでで終わっています。

初めて女性物の服を選ぶときに、形や色、体型との合わせ方で迷う場合は、女装初心者が最初の一着を選ぶときのポイントで整理しています。

この小説を続けて読む

前の話:第1話「合格点」

次の話:第3話「欲しくなくならなかった」

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