【女装小説】くすんだ青い金曜日|第3話「欲しくなくならなかった」

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この小説について

『くすんだ青の金曜日』は、女性物の服に惹かれた32歳の会社員・中野和也が、誰にも知られない部屋で少しずつ女装を始めていく全13話の小説です。

小説を気軽な入口にしながら、作中に登場する悩みに関連したガイド記事も読める形にしています。

この物語は前の話から続いています。初めて読む方は、第1話「合格点」からお読みください。

この作品はフィクションです。

管理人マキ

はじめまして、管理人のマキです。

女装歴20年の経験も踏まえながら、身バレの不安に配慮した情報を初心者向けに分かりやすく整理しています。


本編

それから、あのページを何度か開いた。

仕事の休憩中にふと思い出して開くこともあれば、夜、風呂から上がったあとに見ることもあった。

写真を眺め、色と素材を確認し、ページを閉じる。

それだけの日が続いた。

ある晩、いつものように商品ページを開いたあと、クローゼットから先日買った紺のニットを取り出した。

商品ページに載っている着丈と身幅が、自分の服とどれくらい違うのか気になった。

引き出しからメジャーを出し、ニットを床に広げる。

肩の位置を揃え、裾までの長さを測った。

画面に表示された数字と見比べている途中で、手が止まった。

俺は、この服を自分が着たときの長さを調べている。

見ているだけのつもりだった。

けれど、いつの間にか前提が変わっていたらしい。

少し落ち着かない気分になり、床に広げたニットをすぐに畳んだ。

その夜、試しに商品をカートへ入れてみた。

金額の合計が表示される。

支払い方法を選び、確認画面の一つ手前まで進んだところで指が止まった。

買ってはいけない理由なら、いくつか考えられた。

必要な物ではない。

すでにニットは買った。

着る機会もない。

けれど、欲しい理由を考えようとすると、うまく言葉にならなかった。

結局、その日は画面を閉じた。

数日後、俺は一週間だけ、あのページを見ないことにした。

気になっているのが一時的なものなら、離れているうちに薄れるかもしれない。

そう考えた。

帰宅後は録画していたドラマを見たり、部屋の片付けをしたりして過ごした。

スマートフォンを触る時間も少し減らした。

ニットのことを思い出しても、検索はしなかった。

七日目の夜、俺は気持ちを確かめるつもりで、久しぶりに商品ページを開いた。

まだあった。

色も、サイズも、値段も変わっていない。

画面を見ながら、自分の中で何かが減っているかを確かめた。

減っていなかった。

一週間離れていたのに、くすんだ青を見た瞬間、やはりいい色だと思った。

欲しくなくなるのを待っていたのに、ならなかった。

それだけが、はっきりした事実として残った。

理由をうまく説明できるわけではない。

ただ、これ以上待っても、答えは変わらない気がした。

俺はもう一度サイズ表を確認した。

前に測ったニットの数字も見直した。

カートに入れ、支払い方法を選び、確認画面まで進む。

購入ボタンの上で、指が一度止まった。

それでも、今度は画面を閉じなかった。

ボタンを押しても、特に高揚した気分にはならなかった。

長く迷っていた宿題を、ようやく提出したときのような、静かな感覚だった。

画面に「ご注文ありがとうございます」と表示された。

俺はそれをしばらく眺めてから、スマートフォンを置いた。

明日からも、いつも通り仕事へ行き、いつも通り帰ってくる。

その生活のどこかに、あの荷物が届く。

それだけのことだった。

さいごに

欲しいと思っても、初めて女性物の服を買うときは、すぐに購入を決められないことがあります。

和也は商品ページを何度も見返し、手持ちの服やサイズ表を確認しながら、それでも気持ちが変わらなかったことで、くすんだ青のニットを注文しました。

初めて女装用品をそろえるときに、何を先に買って何を後回しにするか迷う場合は、初心者が最初に買うもの・後回しでいいもので整理しています。

この小説を続けて読む

前の話:第2話「くすんだ青」

次の話:第4話「浮いて見える服」

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